先日、Ko-fiにて初めて投げ銭を頂戴しました。ありがとうございます!
いただいた投げ銭で書籍を購入しましたので、内容の紹介を。
駆逐艦「神風」電探戦記
駆逐艦を題材としたオムニバス形式の戦記です。
登場する駆逐艦は、響、雪風、夕雲、早潮(艦これ未実装)、そして神風となります。
いずれも元乗員による戦記形式で、各駆逐艦のおもむいた戦域や船内の様子を描いています。
憤怒を込めて絶望の海を渡れ
駆逐艦「響」に乗船した機関科乗員による戦記です。
アッツ島・キスカ上陸作戦から、そのわずか1年足らず後のキスカ撤退作戦から始まり、戦後の復員船としての活躍までを描いています。
艦これユーザーなら知っての通り、響は第六駆逐隊で唯一、戦後まで残存した艦です。
昭和19年の9月頃、敵潜水艦による攻撃を受けて修理中のため捷一号作戦(レイテ沖海戦)に不参加であったり、天一号作戦の際も機雷に触雷し機関を傷めて呉に引き返したりと、からくも生き延びた面があるのかもしれません。
生存の喜びの反面、一部乗員の内面には特攻作戦に参加しそこなった悔しさがにじんでいた、など、複雑な心情も描かれています。
愛しの「雪風」わが忘れざる駆逐艦
必勝を期したマリアナ沖海戦での敗北、捷一号作戦への参加、信濃の護衛、菊水一号作戦への参加と終戦までを砲術長の視点から描きます。
寺内艦長による操船技術の巧みさや、敵機体の爆撃を回避した様子なども活写されています。
地獄の海に記された「夕雲」奇蹟の生還記
夕雲の沈没から生き延びた汽罐長の漂流記です。
漂流物を集めてイカダを組み、ボートを鹵獲してブインを目指す……負傷者をかばいながらの必死の航海の様子が語られます。
ソロモン特急「早潮」ダンピールに死す
ガダルカナル島増援作戦における、いわゆる「ネズミ輸送」を主題に扱った駆逐艦早潮乗員の手記です。
闇夜を利しての揚陸作戦と、日の出までに敵の制空権内をすばやく引き上げる様子を描きます。
上陸用舟艇を珊瑚礁に乗り上げずに接岸しなければならない緊張感や、時間に遅れれば容赦なく置いて行かれる切羽詰まった状況が伝わってきます。
駆逐艦「神風」電探戦記
表題作は神風乗員となった電探技師の手記。
著者が技師となるまでのいきさつ、そして二十二号電探改四を載せた神風が最新技術を駆使していかに戦ったかを描きます。
艦これで言う7-3:マラッカ海峡を抜けてのモデルとなったペナン沖海戦の話も。
敵艦からの電探射撃を受けて羽黒は大火災、神風も輸送作戦のため魚雷発射管を外しており満足な反撃はできず。
敵駆逐艦と羽黒の間に挟まれた神風は羽黒からの誤認射撃を受け、「ワレ・カミカゼ」の発光信号を必死に送りながら退避した……と言います。
その後、神風はペナンから戦場へと引き返し、羽黒乗員約400名を救助しました。
ちなみに黒井綠の漫画『朝雲は振り向かない』に収載の短編「ワレ・カミカゼ」も同題材を扱っています。
まとめ
光文社NF文庫の駆逐艦戦記モノは「一隻の艦に対して一冊」というものが多いのですが、オムニバス形式だとさまざまな艦のことを知ることができ、そこはかとないオトク感がありました。
とくに駆逐艦題材のものは、一冊にまとまるのは一部の艦だけだったりするので、こうした形式で読めるのは貴重な機会に感じました。
おなじような書籍があれば、また探して読んでみたいですね。