来月より艦これアニメ(2期)が放映されます。
今回はその主要テーマとなっている「レイテ沖海戦」について、よく知らないので予習しておきたい、改めて調べておきたい、と思っている方に向けて、参考になりそうな書籍などを紹介したいと思います。
※この記事内ではレイテ沖海戦自体について解説したりはしません
艦これゲーム内でのレイテ沖海戦
艦これゲーム内での、いわゆるレイテイベントは、下記のように2回に分けて実施されました。
捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇) 2017年秋イベント(2017年11~12月)
捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(後篇) 2018年冬イベント(2018年2~3月)
最近始めた方やイベント期間に休止していた方もいると思うので、簡単にまとめておこうと思います。
レイテ沖海戦(前篇):2017年秋イベ
さて、「今年の秋こそはレイテでは」といった噂は毎年のようにささやかれており、いつかはくるだろう……というのが提督たちの間でのなんとなくの共通認識となっていました。
2017年もその季節が近づく中、10月18日に秋の期間限定ボイスに交じって、「決戦前夜ボイス」なる限定ボイスが実装されます。
「決戦前夜」ボイスの実装艦と内容から、秋イベがレイテモチーフであることがほぼ確定し、不穏な空気が流れ始めます。
この時点で時雨、扶桑、山城にボイスがあったことから、西村艦隊がイベントの中心となることを予想していた方もいたと思います。
その後、10月23日に秋イベ~冬イベと連続して同一モチーフとなることが発表。
10月25日には満潮改二が実装、決戦前夜ボイスにも追加があり、西村艦隊関連任務も追加されるなど、実質イベントの予告のようなアップデートが続きました。
この流れから、10月29日にイベント名とモチーフが正式発表。
そこからイベント開始となる11月17日にかけて、決戦前夜ボイスの追加や様々な情報発信が行われました。このあたりはkitonさんのホームページに当時の情報が詳しくまとまっています。
今ではイベント常連となっている警戒陣や遊撃部隊も、元々は西村艦隊のスリガオ海峡突入を再現するために実装されたものでした。
「警戒陣」は西村艦隊の陣形をモチーフとしたもの、「遊撃部隊」は西村艦隊を組むことができるよう全7隻が編成できる特殊仕様、また西村艦隊が「第二戦隊 第一遊撃部隊 第三部隊」であったことから、第3艦隊に実装されました。
実際のイベントも、藤田咲ら声優さんの熱演もあって非常に見所が多く、払暁戦からの基地航空隊の登場など、凝った演出も見られる力の入ったものとなっていました。
当時のプレイ動画を上げている提督さんも多くおられるので、探してみても面白いと思います。
特に注目して欲しいのがBGMで、今回のアニメではゲーム楽曲も手がける大越香里さんが劇伴(BGM)を書いているそうです。
そのためゲーム中で使われた楽曲のアレンジBGMなども多く使用されることが予想され、実際にアニメPVでもゲーム内BGM「西村艦隊の戦い」のテーマが流れます。
※「明朝をもって、出撃予定地のブルネイに進出します」の台詞で裏で流れるのが「西村艦隊の戦い」の第二旋律
このあたりも予習しておくと、アニメもより楽しめるのではないでしょうか。
なお、このイベントの最終第四海域はかなり複雑なマップになっており、これを見て「艦これにはもうついていけない」といった声も多く聞かれたとか……。
なんかそういう文脈でバズってた記憶があります。今見るとそうでもないな。
レイテ沖海戦(後篇):2018年冬イベ
レイテ後編は翌2018年2月17日からの開催で、第1期最後のイベントとなりました。
こちらは全7海域と文句なしの大規模イベントで、前段作戦ではスリガオ海峡突入が体験できるなど、前回イベントをプレイしていなかった提督へのそこはかとない配慮も感じられました。
また友軍艦隊が実装されたイベントでもあり、E4ボスマスはレイテ湾内での決戦となりますが、スリガオ海峡に突入した西村艦隊が友軍として助けにきてくれるという演出も話題を呼びました。
この曲も格好いいですね(このボスが、同様にレイテ沖海戦で沈んだGambier Bayです)。
なおE7ボスマスにやってくる第十九駆逐隊(綾波、敷波、浦波、磯波)が、いわゆるハズレ枠であまりに弱かったため、「ポテトシップス」などと呼ばれ一部のプレイヤーからヘイトを集めたようです。
綾波・敷波の掛け合いがあって大喜びしていたのは自分だけか。
本イベントはクリア後に専用台詞演出があったり、第1期エンディング「月夜海」が流れるなど、非常に特別感の強いイベントでした。
この楽曲は2022年冬イベントでも最終海域ボス戦BGMなどでアレンジして使われました。
※レイテ前篇のボスだった涼月と対になる冬月が最終海域ボスであったため
BGMとしてはE5~6のボス戦、およびE7の道中戦闘曲である「鶴墜ちる海」が出色の出来で、こちらは通常海域でも流れることがあるので、知っている方も多いと思います。
今回のアニメがどのあたりまでの話を取り扱うのか分かりませんが、エンガノ岬沖海戦まで含まれるのであれば、この曲も使われる公算が高いです。
ストーリー的に瑞鶴の主役感が際立ってしまうので、今回のアニメで扱うのはどうかな?という気がしますが。
瑞鶴改二甲:エンガノ岬決戦mode
なお自分は、翔鶴の編成時ボイスに「小沢機動部隊、旗艦翔鶴!」という台詞があり、これにグッときて翔鶴旗艦でクリアしました。
※史実の翔鶴はレイテと同年6月のマリアナ沖海戦で喪失
レイテ沖海戦について調べる
レイテ沖海戦については、読みやすい形式の書籍もかなりの数出ているので、何かひとつ買い求めて読んでみるのも良いと思います。
「史上最大の海戦」と呼ばれることもあるだけあって、かなり大規模な作戦で、日本側の主要な艦隊だけでも栗田艦隊、小沢艦隊、西村艦隊、志摩艦隊らが同時に行動しています。西村艦隊に限らず、これら艦隊の動きも把握しておきたいところです。
また事前の台湾沖航空戦や、日本本土への直接攻撃を提唱する者もいる中でフィリピンに固執したアメリカ(マッカーサー)側の事情など、海戦をとりまく情勢も知っておくと理解が深まるでしょう。
ネット記事ではWikipediaの記事を読んでおくと良いかもしれません。時系列巡に出来事が把握できると思います。
書籍
『レイテ沖海戦』半藤一利
500ページほどありますが、読み物形式に近いため、この手の書籍の中ではいちばん読みやすいかも。細かな描写が多めで、駆逐艦・曙による重巡・最上の雷撃処分の様子なども描かれています。
『激闘レイテ沖海戦』江戸雄介
230ページ程度とコンパクトでありながら、西村艦隊についてはそれなりの紙幅を割いており、この記事の目的からするとおすすめしやすい本です。古書でしか手に入らないかも。
『レイテ決戦』樋口晴彦
おなじく230ページ程度。レイテ沖海戦だけでなく、レイテ島での陸軍の戦いについても書かれています。
図説が多めで、都合5度の航空攻撃を受けてシブヤン海に沈んだ武蔵の被害図などもあり。
『栗田艦隊退却す』小島清文
大和に暗号士として乗船した筆者による従軍記。
性質上、栗田艦隊視点での描写が多めで、レイテ沖海戦最大の謎とされる栗田艦隊の反転についても電文のやりとりの時系列などから詳細な考察が書かれています。
『地獄のレイテ輸送作戦』岸見勇美
レイテへの輸送作戦である多号作戦を中心に書かれた書籍。多号作戦は2020年秋~冬イベントのモチーフにもなりました。
輸送に従事した駆逐艦の命運について細かく記載されています。
『レイテ戦記』大岡昇平
大岡昇平は陸軍に従軍してフィリピンに赴任、その後、1945年には現地で捕虜となり、そのまま終戦を迎えました。その経験を元に書かれたのが『俘虜記』(ふりょき)や『野火』といった作品なのですが、後年、この『レイテ戦記』を著すことになります。
いちおう小説という分類になっているのですが、内容としてはほとんどがレイテ島での戦いの詳細な記録で、日米双方の記録を突き合わせた上で事細かに記されており、戦死した兵士の遺族が知りたいであろう「どこで誰がどう戦って死んだのか」をつまびらかにしようという作品になっています。そのため戦記物といった感じの読み物ではありません。
基本的に著者の所属していた陸軍側の視点から描かれており、ここまでの書籍とは違い、海軍に対しては常に批判的なスタンスですが、レイテ沖海戦についても一章を割いて記されています。また「陸軍基地航空隊と海軍艦隊の共同作戦」が、(重要ではありながら)いかに非現実的であったか、というような事情もよく分かります。
非常に考えさせられる作品ですが、いかんせん分量が半端なく、ページ数で言えば文庫版で1400ページほどあります。抑制された筆致での淡々とした描写が主であるため、それなりに興味がないと読み通すのは大変だと思います。